その2からの続き
大天井岳から先はアップダウンも少なく、まさに極上のトレイルだった。
槍、穂高などの北アルプスの山々がずっと自分の右側に見え続けている。
左側には雲海が広がり、その先には富士山までも顔を出していた。
キャプ4フーディとパタのフーディニを着ていたけど、陽射しの当たる場所は暑くてしかたないため脱ぐ。
緩やかに登ったり下りたり。
雲ひとつない状況でこの縦走路を歩いていると、気持ち良すぎて現実なのか疑うほど。
ハイカーもほとんど居らず、常念小屋までの間に会った人は5,6人程度だった。
やがて東天井岳の横を通り過ぎる。東天井岳には登ろうかと思っていたのだけど、登り口を行き過ぎたようで面倒になってスルーした。
ハイマツの中に続いていくトレイル。
ただ、ハイマツに入ると小さな虫が大量に飛んでいて鬱陶しい。
口で息をすると飛び込んで来るので、鼻呼吸を心掛ける。
涸沢もハッキリ。
自撮りをして遊びながら進む。
やがて常念小屋手前の下りの取り付きに着いた。
実はこの少し前から急激に体が言うことをきかなくなってきていた。
理由は単純、ハンガーノックだった。
朝食べたのは無印バウムだけ。
ここまで歩いてくる間に行動食を軽くとってはいたけど、量が足りなかったみたいだった。
しかも案外下りが長い。常念小屋の赤い屋根が見えてからも、なかなか近づけない。だんだん気持ち悪くなってきてしまった。
フラフラになりながら、常念小屋前のベンチに到着。
すぐにザックからクッカーを取り出し、ラーメンを作る。
お腹を満たし、休憩していると体の調子も大分よくなってきた。
ここまではコースタイム3時間のところを2時間チョイで着いていた。
時間は9時。ザックはここにデポし、サコッシュと水500mlのみを持って常念岳にアタックすることに。
標高差は400mほど。コースタイムは1時間。
頂上まではガレガレの道。ペンキで進むべきルートは示されていたけど、違うルートもあったりして迷いながら進む。
どちらにしろ上で繋がっているので問題なし。
途中で偽ピークに騙されて落胆しつつも、1時間弱で頂上到着!
今回のハイクの最終目的地に着いた!
歩いてきたトレイル。感慨深い。
しかし、下からガスが上がってきている。
頂上でノンビリしたかったけど、今朝見た天気予報のことを思い出し、早々に下りることにする。
サクサク下って小屋前に着く頃には、周りは完全にガスに覆われていた。
陽射しが無い分、急激に気温も下がってきた。
登る前にラーメンを食べてはいたけど、正直まだ足りなかったので常念小屋へ。
カレーライスを注文。
ごはんとカレーは少しぬるかったけど、ハンバーグ付きで量が多い!
少し冷えてきたせいか、小屋の方がストーブを点けてくれた。
朝持っていた水はここまででほぼ無くなっていたので、水1リットルを購入。山バッジも買っておいた。
さらに一ノ沢登山口へのタクシーの配車をお願いする。名前、下山の時刻と場所、行き先を書く紙が用意されており、100円で手配いただけるので助かる。
SoftBankは電波が入らないので、これは必須。
下山のコースタイムは3時間10分。なんとなく3時間後の14時半でタクシーをお願いした。
外に出て、足のケアをする。実は常念岳を下山する際に左足をぶつけ、爪を痛めていた。
絆創膏で取り敢えずの処置をし、ブーツを締める。
トイレに行き、やっと出発!
常念乗越から一ノ沢までは5.7km。
トレイルは最初から樹林帯に入る。そしてその後ほとんど展望がない。
てことは、ここを登る人は常念乗越まで景色が見れないということ。
一ノ沢という名の通り、沢沿いを進んでいく道。
というか、道自体が沢…。これ、雨の多い時期だとかなり水量ヤバいのでは?
疲れもあり、フラフラになりながら降りていく。
タクシーを呼んでもらってから小屋の前でウダウダしていたので、その分を取り戻すためにそれなりに急がないと…。
山ノ神までこればもうすぐそこ。
無事にこの旅が終わりそうなことにお礼をして進む。
そしてやっと登山口に着いた。
配車時間より早く着いたけど、すでにタクシーが待っててくれたので乗り込む。
しゃくなげ荘まで4500円。
運転手さんとなぜかマツタケの話をした。
駐車場に着いたら、すぐ横にあるしゃくなげ荘の日帰り入浴施設へ。
410円でさっぱりと。
風呂自体は大きくないし露天もないけど気持ちよかった。
風呂からでたらコーラを一気飲み。
その後はSAでお土産を買い、帰途についた。
今回は天気も大きく崩れることなく、最高の景色を堪能できたハイクだった。
落ちた体力のせいで思ったように行動できなかった部分もあったけど、無事に目標を達成し、帰ってこれて良かったと思う。
夏山シーズンも終わり、秋はどこの山に行こうかな。